健康診断 何がわかるの? 血液検査について 2 獣医師三宅

今回は「生化学検査」について書きたいと思います。

生化学検査では、

・蛋白の検査 

・肝臓の検査 

・腎臓の検査 

・副腎の検査 

・甲状腺の検査 

・消化器系の検査 

・膵臓の検査 などが行えます。

「蛋白の検査」
蛋白は脱水があると上昇します。
これは前回のコラム説明した赤血球と一緒で、水分が少ないからその分多く見えるというのと同じです。 また、炎症や一部の腫瘍で増加することがあります。 

逆に減ってしまう原因としては食事からの摂取量が少ない場合、
ちゃんと食べているのに吸収出来ていない場合、
体から出て行ってしまう場合があります。
肝臓、腎臓、腸などに疾患があると低下しますし、出血により失われることもあります。 

「肝臓の検査」
肝臓の細胞が障害を受けていないか、胆道系や胆のうなどはどうか、肝不全はないかなどを診ます。
実は、肝臓の酵素は肝臓以外の臓器の疾患に関連して上昇することが多いので、本当に肝臓が悪いのか、他に病気が隠れているのではないかというのを見極める必要があります。 

「腎臓の検査」
腎臓の機能障害はないか、腎不全はないかなどをみます。
また、ネフローゼ症候群といって腎臓からタンパク質などが漏れ出してしまう疾患もあります。
腎臓を評価する際には血液検査と合わせて尿検査を行なうことも大切です。 

「副腎の検査」
副腎は、腎臓のすぐそばにある臓器で、生体にとって必要なホルモンを分泌しています。
クッシングという病名を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは副腎の機能が亢進してしまう病気で、食欲旺盛、水を飲む量やおしっこの量が増える、脱毛、太鼓腹などの症状が有名です。
確定診断にはホルモン検査や画像診断が必要になりますが、このような特殊な検査を行なう前に血液検査である程度の情報を入手します。 
また、副腎の機能低下症というのもあり、これについても血液検査である程度の判断をつけることが可能です。 

「甲状腺の検査」
甲状腺は、調度ノドのあたりの気管のそばにある臓器で、副腎同様、大切なホルモンを分泌しています。
犬では甲状腺の機能低下症が有名です。
甲状腺ホルモンは体内を活発にさせる作用があるので、このホルモンが出にくくなると、全身の活動の低下がみられるため、元気が無くなる、毛づやが悪くなる、体重が増える、寒さに弱くなるなどの症状が見られます。
これも確定診断のためにはホルモン値の測定などの追加検査が必要となります。この甲状腺機能低下症を見逃して麻酔を行なうと粘液水腫昏睡というとても危険な状態に陥ることがあるので、避妊手術や去勢手術、歯科処置などで麻酔をかける際に、疑わしい場合にはホルモン値の測定も行なったほうが良いです。
老齢の猫では、これとは逆の甲状腺機能亢進症という病気になることがあります。

「消化器系の検査」
先ほど蛋白の検査の際に少し触れましたが、腸に疾患があると蛋白やその他の物質が失われることがあります。 

「膵臓の検査」
犬では膵炎の際に、膵臓から分泌される消化酵素が上昇することがあり、判断できることがありますが、これらは腸疾患などでも上昇することがあるので注意が必要です。膵炎も疑わしい場合は追加検査が必要です。

表を載せておきますので参考にしてください

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