健康診断 何がわかるの? 血液検査について 獣医師三宅
今回は、血液検査で何がわかるのかを説明します。
動物病院で検査結果をもらってきても、見方が良く分からない・・・。なんてことはないですか?
この機会に、血液検査の項目や数値について知って頂ければ嬉しいです。
血液検査のための採血は通常、後肢の血管から行うことが多いですが、首や前肢の血管から行うこともあります。
健康診断として行う血液検査では、血液内の赤血球、白血球、血小板の数を測定する「血球計算」と、血液中の化学成分を分析して異常を検出する「生化学検査」を行うことがほとんどです。
長くなってしまいそうですので、今回は「血球数計算」についてのみ書きます。
血球数計算
・貧血はないか、赤血球増多症はないか
・血小板はしっかりあるか
・炎症はないか
・壊死なないか
・過敏症はないか
・ストレスはないか
・白血球減少症はないか などがわかります。
貧血は出血などによって血液が失われたり、赤血球を作っている骨髄の異常で作られなくなったりすることによって起こりますが、軽度から中等度の貧血は慢性炎症、甲状腺機能低下症、慢性腎不全などでも引き起こされます。
また、腸内の寄生虫や体の外につくノミやマダニなどによる慢性的な吸血などでも貧血が起こります。
出血などはすぐに気付くことができそうですが、消化管などから少しずつ出血しているようなケースだと発見が遅れることもあります。
逆に赤血球増多症というのは赤血球が多い状態を表しますが、血液中の水分が少ないので赤血球が多いように見える場合と、本当に赤血球の数が増えている場合の2種類あります。
血液中の水分が少ない代表例は脱水です。
赤血球の数は本当に増えている時というのは、骨髄が赤血球を作りすぎてしまう疾患や腎臓の腫瘍、心疾患、呼吸器疾患などがあります。
腎臓からは赤血球を作って下さいというホルモンがでているので、腫瘍ができてこのホルモンが大量にでることで赤血球がたくさん作られてしまいます。
また、心疾患、呼吸器疾患がある時というのは、体は酸欠状態ですので、酸素を運ぶ赤血球を増やして状態を改善させようとする作用が働き、赤血球が増えます。
血小板は出血を止める細胞でかさぶたを作ります。
血小板も赤血球と同様、骨髄でつくられますので、骨髄での産生低下で減ってしまいます。
また、出血があるとたくさんの血小板が消費されるので、出血時などにも減ってしまいます。
炎症、壊死、過敏症、ストレスなどはすべて白血球で判断します。
白血球とは、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の総称で、これらが増えたり減ったりするバランスを見て判断します。
例えば、炎症がある時には好中球、単球、好酸球が増加しますし、ストレス時にはリンパ球が減少します。
ストレスがかかると体内でグルココルチコイドというホルモンが分泌されますが、これはステロイドと同じ物質ですので、ステロイドを使用している時にもリンパ球の減少が見られます。
表も載せておきますので参考にしてください