獣医師が解説【犬のウイルス性感染症】 パルボウイルスの代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?
この記事を監修した獣医師
anicli24 院長
三宅 亜希みやけ あき
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
わんちゃんのパルボウイルス感染症 代表的な症状
犬のパルボウイルス感染症はウイルスによる感染症で、発症する年齢や症状によって、心筋炎型と腸炎型に分けられます。心筋炎型は近年ではほとんど見られなくなりましたが、生後8週齢までの子犬で起こり、突然ぐったりとして呼吸困難を起こし急死してしまう例が多いです。一方、腸炎型は、生後8週齢以降の子犬で起こり、発症すると、食欲低下、嘔吐、下痢などの消化器症状や発熱などが突然起こります。血液検査をすると白血球が減ってしまっていることが確認できます。 ほとんど症状がみられない不顕性感染のこともありますが、亡くなってしまうこともあります。
POINT
– 突然の食欲不振
– 嘔吐
– 下痢(血便)
– 白血球が減ってしまう
– 心筋炎型と腸炎型がある(心筋炎型は近年ではほとんどみられない)
わんちゃんのパルボウイルス感染症の原因は?
犬のパルボウイルス感染症の原因になるのは、パルボウイルスと呼ばれるウイルスです。感染経路は、経口感染です。すでに感染した犬の便や嘔吐物に排出されたウイルスを、他の犬が口にすることで感染が成立します。パルボウイルスは感染力が非常に強いため、たくさんの犬が一緒にいる環境(繁殖施設、保護施設、販売施設など)や、多頭飼育のご家庭などではあっという間に拡がってしまう恐れがあります。
POINT
– 犬のパルボウイルス感染症は感染力が強い
わんちゃんのパルボウイルス感染症 受診の判断は?
特に、家に来たばかりの子犬で、混合ワクチンが未接種だったり、混合ワクチン接種歴が不明だったりする場合で、下痢、嘔吐などの症状がみられたときは、早めの受診を検討しましょう。
もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。
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わんちゃんのパルボウイルス感染症の検査・治療は?
検査
犬のパルボウイルス感染症は、一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。とくに混合ワクチンの予防歴は重要です。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認し、犬のパルボウイルス感染症以外の病気で消化器症状が起こっていないかも確認します。
血液検査を行い、白血球が減っていないか、嘔吐や下痢により脱水症状が起こっていないかを確認します。
便を使用してパルボウイルス抗原を測定するキットや、血液を使用してパルボウイルス抗体を測定するキットなどもあるので、これらの検査が行われることも多いです。
治療
検査の結果、犬のパルボウイルス感染症であると診断された際、軽症であれば数日中に回復することもあります。重症で消化器症状により重度の脱水が起きている場合は、静脈点滴をしながら入院管理が必要となります。点滴により、十分な水分や電解質を補給しながら、吐き気止めで強い吐き気を抑えたり、細菌の二次感染を防ぐために抗生剤が使用されたりします。
回復し完治が見込めることもありますが、退院できた場合でも、口から栄養や水分を摂取できるようになるまで時間がかかるためしばらくは自宅での看護が必要になります。
わんちゃんのパルボウイルス感染症 予防はできる?
犬のパルボウイルス感染症はワクチン接種で予防できます。犬のパルボウイルス感染症のワクチンは、「コアワクチン」といって、生活環境に関わらずすべての犬に接種することが推奨されているワクチンです。ワクチン接種のタイミングや接種回数により自己の抗体が十分に増えないこともあるため、子犬のときから適切なタイミングでワクチンを接種するようにしましょう。
多頭飼育で感染が起こった場合は、完全隔離と徹底した消毒が必要になります。パルボウイルスはアルコールによって消毒ができないため、次亜塩素酸ナトリウム(塩素)による消毒が必要になります。
アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。
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