「犬の膝蓋骨(内方)脱臼(=パテラ)」
膝には膝蓋骨というお皿があり、ちょうど大腿骨の中央あたりに位置します。
大腿骨には膝蓋骨がピタッと収まるための溝がありますし、まわりに膝蓋骨を支える靭帯も存在するため、
通常は膝蓋骨がそこから動くことはありません。
しかし、小型犬は先天的に膝蓋骨がこの溝から外れやすい(=脱臼しやすい)ことが知られており、
多くは内側に外れます(内方脱臼)。
大型犬や牛・馬などで膝蓋骨が脱臼する際は反対に外側に外れることが多いです(外方脱臼)。
小型犬で、一度外れてしまっても自分で肢を屈伸させて簡単に戻せる子もいますし、
一過性の脱臼がみられるだけでその後めったに外れないこともあります。
しかし、外れっぱなしになってしまったり痛みをともなったりして、
うまく歩行ができなくなることもあります。
……………………………………………………………………………………
症 状
……………………………………………………………………………………
急に後ろ肢を不自然に持ち上げたまま使おうとしない
肢をひきずる
触ると痛がるなど
……………………………………………………………………………………
診 療
……………………………………………………………………………………
病院では飼い主さんのお話や臨床症状、触診、レントゲン検査で診断するのが一般的です。
軽度の場合ですと内科的な治療(内服薬、筋肉注射など)で経過をみることも多いのですが、
脱臼の状態が長く続きますと、後肢の骨そのものが変形したり膝蓋骨を支える靭帯が損傷したりすることもあるため、
膝蓋骨を固定させる外科手術が必要になることもあります。
……………………………………………………………………………………
予 防
……………………………………………………………………………………
1.体重管理
小型犬ではわずか数百グラム体重を落とすだけでも、膝への負担が軽くなります。
2㎏の子が2.3㎏になってもどうってことはないと思いがちですが、
比率で考えると60㎏の成人が69㎏になったのと同じです。太りすぎには良いことは一つもありませんね。
2.運動制限
適度な運動は健康維持には大切です。ですので、現在なんの問題もなく健康であれば運動制限をする必要はありません。
ソファへの飛び乗り・飛び降りなども膝の負担にはなりますので、そのような行為は今から止めさせておくのも良いでしょう。
3.床材の見直し・足裏のケア
コルク板やカーペットなど、滑りにくい素材のものを敷いてあげましょう。
また、直接フローリングに塗れる滑り止めなどもあります。
足裏の毛や爪も定期的にチェックして、問題がないか気にしてあげるようにしましょう。