心臓を知る 獣医師 三宅
こんな症状ありませんか?
・お散歩の距離が短くなった
・なんとなく元気がない
・咳をする
・すぐ息切れする
・手や足の先が冷たい
・発作をおこす
これらは心臓が悪くなったときに飼い主さんが気づきやすい変化です。
必ずしもこの順番通りに症状が進んでいくわけではありませんし、上記の変化に加えて、食欲がなくなる子や食べているのに体重が減る子などもいます。
「年だから体力がなくなってきているんだな」と思っていたら実は心臓が悪かったということはよくあります。
早めに気付いてあげたいですね。
心臓の役割を一言で表すと「全身に新鮮な酸素を含んだ血液を送る」です。
その機能が低下してしまうと体にはどんな変化がおこるのでしょうか。
体に十分な血液が送られないと全身が酸素不足の状態に陥り、運動に耐えられなくなったり、眠っている時間がふえたりします。
また、心臓と肺は密接に関わっているため、肺への影響もでてくると、咳をするようになります。
呼吸が苦しくて、ゼェゼェと息を切らしたり、末端まで血液が送られないために手足の先が冷たく感じることもあります。
また、不整脈が起こって急に倒れたり、脳が酸素不足になって発作が起きるかもしれません。
このように心臓が悪くなると、全身に様々な影響があらわれます。
*日頃から心臓を意識してみましょう*
「心臓に触れる」
心臓はちょうど肘のあたりに位置します。
左側の肘と胸の間にそっと手を入れて触ってみると、心臓がトクトク動いているのがすぐにわかります
(太り気味で脂肪がたくさんついていると少しわかりづらいかも知れません)。
抱っこしているときや、ブラッシングの時などに、触ってみると良いと思います。
実際に心拍数を記録したり、耳を付けて音を聞いてみるのも良いですね。
小型犬の正常心拍数は80~120回/分くらいです。
大型犬はもう少しゆっくりで、60~100回/分です。
リラックスしているときに計りましょう。
「食べ物に気をつける」
塩分は大敵!です。
ワンちゃん、猫ちゃんが汗をかけないのはご存じでしょうか?(肉球からはちょこっと汗をかきます)
私たちヒトは汗として塩分を外に出すことができますが、それができない彼らは血液から塩分をなかなか排泄させられません。
塩分と水分はとても仲良しで、塩分があるところに水分は寄ってきます。
そうすると、血管のなかにたくさんの水分がはいってきます。
するとどうなるか・・・、そうです高血圧になってしまうんです。
高血圧は心臓にたくさん負担をかけます。
人でも高血圧は万病の基ですよね。
ですので・・・・
どんなにかわいい瞳で飼い主さんのごはんをちょうだいって訴えてきても、ぐっとこらえて下さい!
炊いたお米を少しとか茹でただけのお肉やお野菜ならもちろん問題ないです。
「定期健診を受ける」
- 聴診
病院で心臓の音を聴診するときに一番大切なのは,ワンちゃんが緊張しないことです。
ドキドキして心拍数が上がると音が聞き分けづらくなりますし、ハァハァと口で呼吸をすると呼吸音に消されてしまいます。獣医さんにしっかり聞いてもらうためにもワンちゃんのお顔を撫でてあげたりしながらリラックスさせましょう。
- 超音波
心臓の動きをみます。
実際の拍動の様子や、心臓の筋肉の厚み、内部の構造などが観察できます。
また、最近では血液の流れを色でみることができるタイプのもの(カラードプラー)を
置いている病院もふえてきているので、正常に血液を送っているか、逆流していないかなどが目で見てわかりやすくなっています。基本的には横向きにゴロンと寝てもらって検査をします。
痛くもないですし、害も一切ない検査ですが、お部屋を暗くして検査することが多いので、少し不安になってしまうかもしれません。
- レントゲン
心臓の形や大きさをみます。
また、肺に影響が出ていればそれもわかります。
仰向きと横向きの2方向から撮影しますが、仰向きがちょっと苦手な子が多いようです。
放射線量はごく微量ですので、体への悪影響は心配しなくて大丈夫でしょう。
この3つの検査が基本となりますが、
血液検査で心臓から放出されるホルモン(NT-proBNP)値を測定して、心臓の疲れ具合の参考にすることもあります。
(この値は、激しい運動や極度の緊張(=心拍数上昇)で数値が変化する可能性があります)
胎児としてお母さんのおなかの中にいる時から寿命をむかえるまで、休むことなく約10~15億回も拍動する働き者の心臓を、労わってあげたいですね。
もっと詳しく知りたい方、同じ病気にかかっている愛犬愛猫と暮らしている方、
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