2022.04.08

獣医師が解説【犬のウイルス性感染症】 コロナウイルス感染症の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は？

わんちゃんのコロナウイルス感染症 代表的な症状

犬のコロナウイルス感染症はウイルスによる感染症で、成犬が感染してもほとんど症状がみられない不顕性感染になることが多いです。子犬が感染した場合は、嘔吐、下痢などの消化器症状が起こることがありますが、重症化するリスクは高くありません。ですが、他のウイルス感染（パルボウイルス感染症）や、寄生虫感染、細菌感染が同時に起こった場合では、重篤になることもあります。猫のコロナウイルス感染症では、猫のコロナウイルスが体内で突然変異し、猫伝染性腹膜炎という重症な病気を起こすことが知られていますが、犬のコロナウイルス感染症ではそのようなことは起こりません。

わんちゃんのコロナウイルス感染症の原因は？

犬のコロナウイルス感染症の原因になるのは、犬コロナウイルスと呼ばれるウイルスです。すでに感染した犬の便に排出されたウイルスを、他の犬が口にすることで感染が成立します。コロナウイルスは病原性はさほど高くないですが、感染力は非常に強いため、たくさんの犬が一緒にいる環境（繁殖施設、保護施設、販売施設など）では感染が拡がってしまう恐れがあります。

わんちゃんのコロナウイルス感染症 受診の判断は？

特に、家に来たばかりの子犬で、混合ワクチンが未接種だったり、混合ワクチン接種歴が不明だったりする場合で、下痢、嘔吐などの症状がみられたときは、早めの受診を検討しましょう。

もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。

わんちゃんのコロナウイルス感染症の検査・治療は？

検査

犬のコロナウイルス感染症は、一般的には以下の検査を行います。

問診で飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。とくに混合ワクチンの予防歴は重要です。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認し、犬のコロナウイルス感染症以外の病気で消化器症状が起こっていないかも確認します。
消化器症状がひどい場合は、血液検査を行い、嘔吐や下痢により脱水症状が起こっていないかを確認します。

治療

検査の結果、犬のコロナウイルス感染症であると診断された際、軽症であれば数日中に回復することもあります。重症で消化器症状により重度の脱水が起きている場合は、静脈点滴をしながら入院管理が必要となります。点滴により、十分な水分や電解質を補給しながら、吐き気止めで強い吐き気を抑えたり、細菌の二次感染を防ぐために抗生剤が使用されたりします。

わんちゃんのコロナウイルス感染症 予防はできる？

犬のコロナウイルス感染症はワクチン接種で予防できます。犬のコロナウイルス感染症のワクチンは、「コアワクチン」ではないため、生活環境などにより感染のリスクや重症化リスクが高い場合に接種するか否かを判断するワクチンです。
多頭飼育で感染が起こった場合は、完全隔離と消毒が必要になります。コロナウイルスはアルコールや界面活性剤による消毒が可能です。
※コアワクチンとは：生活環境に関わらずすべての犬に接種することが推奨されているワクチンです。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。