よくある相談【犬の便秘 後編】獣医師が代表的な原因、対処法、受診の判断、検査・治療について徹底解説
この記事を監修した獣医師
anicli24 院長
三宅 亜希みやけ あき
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
ワンちゃんの便秘 自宅でできる対処法は?
排便時の様子や便の状態をチェック
排便時の様子、便の形状、匂い、異物が混ざっていないか、排便回数などを確かめます。
排便時の様子
通常の排便時に比べて、排便姿勢を取ってから排便されるまでの時間が長いか、排便時のいきみかたが強いか、痛みを訴えて鳴く様子があるかをみます。
便の形状
便の量、硬さを確認します。便秘時はいつもより便の量が少なく、硬くなります。
匂い
便は臭いものですが、便秘のときは通常の便に比べて匂いが強く臭いです。
異物が混ざっていないか
自分の毛を飲み込んでいたり、布や紙などを誤飲していたりして、便が出づらくなることがあります。
排便回数
便秘には排便回数の明確な定義はありません。そのため、普段の排便回数と比べてどうか、で判断する必要があります。普段に比べて排便回数が少なくなり、さらに排便時にいつもよりいきみ、硬くて臭い便が出ると、便秘と考えられます。
食欲をチェック
重度の便秘があると、食欲も落ちてくることがあります。逆に、便秘かな、と思っても食欲がある場合は、水分を多く含むウェットフードを与えるなどして、排便を促すのもいいでしょう。
元気や落ち着きをチェック
いつも通りの元気があったり、もしくはリラックスして休んでいたりする場合はさほど辛い状態ではないことが多いです。落ち着かなくウロウロしたり、通常と違う姿勢で身体を休めていたりするときは痛みなどがあるかもしれません。そっと腹部を触ってみて嫌がる様子がなければ、「の」の字を書くようにごく弱い力でさすってあげてもいいでしょう。
ワンちゃんの便秘 受診の判断は?
便秘が疑われる場合でも、次にした便が通常と同じ良便であれば自宅で様子をみてもいいと思います。もし、便秘と下痢が交互に起こる、定期的に排便をするがいつも硬くて臭い、食欲が落ちている、腹痛を訴える、排便痛を訴えるという場合は、重度の便秘だったり、便秘が慢性化していたりする恐れがあります。少しでも心配になる様子や気になる様子がみられる場合は万が一のことを考えて受診しましょう。
受診判断のポイント
- 元気食欲がない
- 便秘と下痢が交互に起こる
- 排便痛がある
- 腹痛がある
判断に迷ったら獣医師へ相談を
- 下痢の治療後、数日排便が見られないのは普通だろうか
- 排便痛はなさそうだが便が小さく硬い
- きちんと排便はしているが2日に1回程度しかしない
- 便秘を予防できる食事はあるだろうか
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ワンちゃんの便秘 動物病院での検査・治療・費用は?
病院での検査は疑われる便秘の原因によって異なりますが、問診・触診・聴診はどのような場合でも行われます。
検査
一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。神経疾患や関節疾患の既往歴なども確認します。
触診や聴診で腹部の状態や腸の運動を確認します。
画像診断では、便を確認したり、異物誤飲、腫瘍などがないかを確認したりします。
便秘と下痢を交互に起こしている場合は、念のため、便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認することもあります。また、ほかの病気との鑑別や、身体の現状を知るために血液検査が行われることもあります。
治療
便秘の解消として、浣腸、用手摘便、を行います。これらにより宿便が取り除けた後は、食事療法、緩下剤、積極的な飲水などで維持していきます。
神経疾患や異物誤飲、会陰ヘルニアなどに対しては外科手術が行われることもあります。
費用
費用は検査内容、治療内容によって大きく異なるほか、動物病院は自由診療のため各病院によっても異なります。
日本獣医師会が全国の病院向けに行った診療料金についてのアンケートによる診療料金の中央値(データの真ん中の数値。平均値に比べて極端に大きい(小さい)数値の影響を受けにくい数値)を、以下に記載するので参考にしてください。
- 初診料:1,386円
- 再診料:726円
- レントゲン検査:3,931円
- 腹部超音波検査:3,204円
レントゲンの枚数、超音波で確認する場所の範囲などにより料金は変わってきます。
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