獣医師が解説【犬の細菌性腸炎】嘔吐・下痢などの代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?
この記事を監修した獣医師
anicli24 院長
三宅 亜希みやけ あき
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
わんちゃんの細菌性腸炎 代表的な症状
犬の細菌性腸炎は、細菌による感染症です。急性の嘔吐、下痢(粘液を含む便、鮮血のついた便を含む)、発熱などの症状が起こりますが、ほとんど症状がみられない不顕性感染や、発症しても軽度のことが多いです。
POINT
– 急性の嘔吐
– 急性の下痢や粘膜や鮮血のついた便
– ほとんどが軽症
わんちゃんの細菌性腸炎の原因は?
犬の細菌性腸炎の原因になるのは、クロストリジウム、カンピロバクター、サルモネラなどの細菌です。サルモネラは肉の生食などが原因となって感染することが知られていますが、クロストリジウムやカンピロバクターは、健康な犬の便からも普通に検出されるため、疫学的に不明な点が多いです。クロストリジウムやカンピロバクターが、腸内で毒素を産生すると、腸の組織が傷害され、細菌性腸炎が引き起こされます。
※サルモネラは人の食中毒の原因にもなる、人畜共通感染症(zoonosis)です
POINT
– サルモネラ感染は肉の生食でリスクが高まる
– クロストリジウムやカンピロバクターは健康な犬の便にも存在する
わんちゃんの細菌性腸炎 受診の判断は?
細菌性腸炎かどうかは病院で検査をしても診断をするのは難しいことがあり、飼い主さんがご自宅で判断するのはとても困難だと予想されます。突然の下痢、血便、粘膜便や嘔吐などの症状がみられたときは、受診を検討しましょう。特に、生肉を食べたあとにこれらの症状がみられたときは早めの受診が必要です。
もし、食べすぎなどの嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。
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わんちゃんの細菌性腸炎の検査・治療は?
検査
犬の細菌性腸炎は、一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。とくに混合ワクチンの予防歴は重要です。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認し、犬の細菌性腸炎以外の病気で消化器症状が起こっていないかも確認します。
必要に応じて血液検査を行い、嘔吐や下痢により脱水症状が起こっていないかを確認します。
細菌性腸炎かどうかを診断することは非常に困難なため、細菌性腸炎以外の病気ではないこと確認することが重要となります。そのため、レントゲン検査やウイルス性腸炎の検査などが追加されることもあります。
治療
検査の結果、犬の細菌性腸炎以外の病気が否定された場合、細菌性腸炎の治療をはじめます。軽症であれば、抗生剤、整腸剤、下痢止め、吐き気止めなどの薬を処方され通院治療となります。重症で食事が取れない状況の場合や脱水が起きている場合は、静脈点滴をしながら入院管理が必要となります。点滴により、十分な水分や電解質を補給しながら治療をおこないます。
通常は1週間程度で快復が見込めます。
わんちゃんの細菌性腸炎 予防はできる?
犬の細菌性腸炎を予防することは困難です。サルモネラ感染については肉の生食を避けることである程度予防ができます。
もし、サルモネラ感染と診断されたら、人への感染を防ぐために、完治するまでは犬が使用した食器の管理や犬の排泄物の処理などに十分気を付けます。また、キスなどの濃厚接触も避けましょう。
アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。
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