獣医師が解説【犬の寄生虫感染症】 鉤虫症の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?
この記事を監修した獣医師
anicli24 院長
三宅 亜希みやけ あき
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
ワンちゃんの鉤虫症 代表的な症状
犬の鉤虫症は寄生虫感染による消化器疾患で、症状が出る場合は、お腹を痛がる、貧血により元気がなくなる、痩せる、嘔吐、下痢、などがみられます。下痢はどす黒いタール状の便のケースが多く、これは酸化した血液が混じっていることで起こります(大腸~肛門付近での出血は新鮮な血液のため鮮やかな赤やピンク色の血液がみられますが、胃~小腸で出血がある場合は排泄までの間に血液が酸化し黒色タール便になります)。これらの症状がみられるときは、大量に寄生している場合で、特に子犬では重症化することがあります。成犬では目に見える症状がなにもない無症状のことが多いです。
※犬の鉤虫症は人にも感染する人畜共通感染症(zoonosis)です
POINT
– 黒色タール便がみられる
– 子犬は重症化しやすい
– 貧血を起こす
– 成犬では無症状のことも多い
ワンちゃんの鉤虫症の原因は?
犬の鉤虫症は、犬鉤虫という寄生虫が原因になります。犬鉤虫は、犬鉤虫の幼虫を口にする(犬鉤虫に感染した犬が犬鉤虫の卵を便中に排泄→時間が経つと虫卵内に幼虫が育つ→それを口にしてしまう)、犬鉤虫に感染した母犬のお腹の中で胎盤を通じて感染する、犬鉤虫に感染した母犬の母乳を子犬が飲む、犬鉤虫の幼虫が皮膚から侵入する、などが感染経路になります。口から入った幼虫はそのまま犬の腸内に寄生しますが、皮膚から侵入した場合は、血液やリンパ液とともに肺まで移動し、咳と一緒に飲み込まれることで、腸にたどり着いて寄生します。犬鉤虫には「鉤」という名前が表すように、口の部分にするどいフック状のものがあり、それを腸壁にひっかけて寄生します。犬鉤虫が吸血する以外にも、フックをひっかけられ傷ついた場所から失血もするため、多量に寄生された場合は重篤な貧血を起こします。
POINT
– 口からも皮膚からも感染する
ワンちゃんの鉤虫症 受診の判断は?
どす黒いタール状の下痢をしている場合は迷わず受診をします。下痢ではなく形はあるが色がタール状という場合も同様に受診しましょう。また、子犬の場合はタール状かどうかにこだわらず、数日続けて下痢や嘔吐をしているようなときはあまり様子をみずに受診を検討してください。特に、生後2ヵ月程度の子犬では、もともと体内にある血液の量が少ないため、犬鉤虫寄生による貧血で重篤になるおそれがあります。
もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。
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ワンちゃんの鉤虫症の検査・治療は?
検査
犬の鉤虫症は、一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認します。ここで犬鉤虫の卵が見つかれば確定診断ができます。
消化器症状や貧血症状がひどいときは、画像診断や血液検査を行うこともあります。
治療
検査の結果、犬の鉤虫症であると診断されたら、犬鉤虫の駆虫薬で治療を行います。貧血の治療として鉄剤の投与を行うこともあります。また、重度の貧血の場合は輸血が必要になることもありますが非常にまれです。
駆虫薬には、内服タイプや背中に滴下するタイプなどがあり、犬の性格や年齢などから安全性や投与のしやすさで選択されます。
犬ちゃんの鉤虫症 予防はできる?
犬の鉤虫症は予防できます。犬鉤虫の卵は低温や乾燥に弱いので、犬のいる環境が高温多湿にならないように注意します。
犬の鉤虫症を含む、外部寄生虫や内部寄生虫を定期的に駆虫できる予防薬もあるので、感染リスクが高いご家庭では、使用を検討されるといいかもしれません。
アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。
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