よくある症状 第4回「脱毛」 獣医師 三宅
実際に来院される理由としてよくある症状を紹介していきたいと思います。
ご自宅の猫ちゃんに同症状がみられた時に、参考にしてみて下さい。
考えられる原因
*病原体の感染*
真菌(カビ)、細菌、寄生虫
*物理的刺激*
痒み・痛みで舐める、ストレスで舐める等
*ホルモン疾患*
ホルモンのバランスが崩れることによって起こる皮膚疾患
*その他*
ストレス、食餌のバランス
検査
*顕微鏡検査*
皮膚の一部を少しひっかいて観察します。寄生虫の有無がわかりますが、毛穴の奥深くに隠れていることが多いので、一度の検査では見つけられないこともあります。皮膚にセロテープを貼り付けて付いてきたものを染色することで、細菌や真菌(カビ)がいるかをみます。ノミなどの寄生虫は肉眼でわかります。
*真菌培養*
一部の真菌(カビ)は、実際に培養して観察しないとわからないため、毛を数本抜いて培地に植え付けます。結果は7~14日程でわかります。
*血液検査*
ホルモンによる疾患ですと、血液中のホルモン値の測定が必要になってきます。一般の動物病院では測定できないので、血液を検査機関に送付して結果を待ちます。数日以内で結果は出ます。
猫ちゃんが脱毛部を気にして舐めていると、薬が効いていてもなかなか治りません。
皆さんご存知のように猫ちゃんの舌はとてもザラザラしていますよね。あの舌でなめ続けていると、毛はこすれてしまいますし、皮膚も炎症を起こします。ちょっとかわいそうですが、あまりに舐める子はネッカー(エリザベスカラー)を首につけて舐めるのを阻止するしかありません。でもそれがストレスで、脱毛の治りに悪影響が出てしまうなんてことも・・・。猫ちゃんはとてもデリケートな子が多いので難しいですね。
外用薬を処方された場合には塗ったそばから舐めとられては意味がありませんので、塗った後にごはんをあげたり、遊んで気をまぎらわしたりしてなんとか時間を稼いでみてください。
予防できること
お外に出る子はノミ予防をしっかりすることが重要です。ノミに刺されると、刺されたところだけではなく全身が痒くなってしまい届く範囲は全部かじったり舐めたりする猫ちゃんも多くいます(ノミの唾液によるアレルギー反応)。
ノミ取り首輪などは、首輪の下をノミが通らないと効果が出ません。ノミはしっぽの付け根やおしりのあたりに寄生することが多いので、あまり効果的とはいえません。
また、量販店などで取り扱っているノミ予防の液体タイプのものは、ノミが嫌いな香りなどで寄せ付けないようなものが多く、完全な予防効果は期待できません。
やはり動物病院で扱っているノミ予防薬が一番効果的で確実です。
真菌や細菌は、お部屋が汚いと感染するというものではなく、猫ちゃん自身の皮膚の免疫力に深く関わっていますので、なかなか予防も難しいですが、バランスの良い信頼できるフードを与えたり、必要があればサプリメントなどで補うのも良いかもしれません。
引っ越しや外の工事の音などの環境の変化(なかには新しい家具を設置しただけでもストレスを感じる子もいます)によるストレス性の脱毛も、なかなか防ぐのは難しいですよね。
猫ちゃんがここなら絶対落ち着けるという隠れられる場所を作っておいてあげるのは効果があるかもしれません。
もっと詳しく知りたい方、同じ病気にかかっている愛犬愛猫と暮らしている方、
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