2022.06.20

獣医師が解説【猫の胃腸の病気】腸閉塞の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は？

猫ちゃんの腸閉塞 代表的な症状

猫の腸閉塞とは、腸の内容物が正常に通過できない状態をいいます。内容物が少しずつ通過できるものから完全にストップしてしまうものまで通過障害の程度はさまざまです。通過障害の程度が軽い場合は症状も軽くなりますが、食欲不振、元気がない、嘔吐、腹痛、便秘、下痢、腹部が腫れる（腹部膨満）などの症状が見られます。
完全に塞がっている場合や、閉塞により腸に損傷が起こっている場合などでは、命に関わる危険があります。

猫ちゃんの腸閉塞の原因は？

腸閉塞の原因には、大きく分けて「機械的閉塞」と「機能的閉塞（麻痺性腸重積）」とがあります。

機械的閉塞

腸管内が物理的に塞がれてしまい通過障害が起こる腸閉塞です。具体的には、誤飲した異物、腫瘍・ポリープ、重度の便秘、腸ねん転、腸重積、腸ヘルニア、会陰ヘルニア、手術後の癒着などが挙げられます。

機能的閉塞

腸管内に物理的な閉塞はないものの、腸が正常に動けないことで通過障害が起こる腸閉塞です。具体的には、神経麻痺や腸管のけいれんなどが挙げられます。
シャムは腸重積の好発品種（その病気になりやすい品種）として報告があります。

猫ちゃんの腸閉塞 受診の判断は？

食欲不振や嘔吐、便秘、下痢が続くときには様子を見ずに受診することが重要です。特に、何か飲み込んでしまったかもしれない、というときにこれらの症状が見られたときはすぐに受診するようにしましょう。

もし、たまに見られる食欲不振や嘔吐との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。

猫ちゃんの腸閉塞の検査・治療は？

検査

問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
下痢をしている場合は、便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認することもあります。
画像診断では、腸管内にガスが溜まっていないか、腸管はスムーズに動いているか、異物や腫瘍が疑われるものはないかを確認したりします。腸管の動きを見るために造影剤が使用されることもあります。
血液検査では、一般的な健康状態を確認し、血液中の電解質のバランスや、炎症反応などを確認します。

治療

機能的閉塞の場合では、点滴や絶食などによる内科的な治療法が選択できることがあります。
一方、機械的閉塞では重度の通過障害が起こっている場合は外科手術が必要になることが多いです。外科手術により、腸ねん転の整復や異物の除去などを行うことで、通過障害を解除します。腸に傷がついていたり、捻じれていたりするまま放置すると、腸管が壊死します。腸管壊死により腸の内容物が腹部に漏れ出て敗血症性ショックを起こしてしまうため、早急な手術が必要です。
腸の腫瘍が原因となっている場合、腫瘍の種類によっては外科手術ではなく化学療法が選択されるケースもあります。
便秘が原因となっている場合、下剤の投薬や摘便が行われます。

猫ちゃんの腸閉塞 予防はできる？

腫瘍などは予防することができませんが、異物の誤飲や便秘について予防が可能です。小さなものはそのまま置かず、引き出しや戸棚にしまうようにしましょう。また、体質にあった食事を見つけ、落ち着いて排便ができる環境を整えてあげましょう。水をあまり飲んでくれない猫も多いですが、その場合はドライフードからウェットフードに変更するだけでも十分な水分量が取れるため、便秘防止になります。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。