獣医師が解説【猫の寄生虫感染症】 コクシジウム症の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

猫ちゃんのコクシジウム症 代表的な症状

猫のコクシジウム症は寄生虫感染による消化器疾患で、症状が出る場合は、下痢、嘔吐、食欲低下、などが起こります。また、子猫ではこれらの症状にくわえて、熱が出る、血便、ぐったりするなどの症状がみられることがあります。このような症状は他の感染症を一緒に起こしている場合や、感染したコクシジウムの病原性の違いなどが影響している場合が考えられ、子猫でも目に見える症状がなにもない無症状のこともあります。

POINT

– 下痢
– 嘔吐
– 子猫では発熱や血便を起こすこともある
– 成猫ではほとんどが無症状

猫ちゃんのコクシジウム症の原因は?

猫のコクシジウム症の原因になるコクシジウムという寄生虫は、原虫とよばれる単細胞の微生物です。猫に寄生するコクシジウムにはたくさんの種類がありますが、一般的に猫のコクシジウム症といわれる、下痢を主症状とするこの疾患は、Cystoisospora(シストイソスポーラ)属に分類されるCystoisospora feris、Cystoisospora rivoltaの2つの種により起こります(以前はIsospora(イソスポーラ)属に分類されていました)。猫のコクシジウムは、猫のコクシジウム症に感染した猫から便とともに排泄されたオーシスト(卵のようなもの)を口にする、猫のコクシジウムが寄生した小動物(主にネズミ)を捕食する、などが感染経路になります。たくさんの猫が一緒にいる環境(繁殖施設、保護施設、販売施設など)では感染リスクが高くなります。
※コクシジウムという寄生虫にはたくさんの種類がありますが、ここで記載している種については、人への感染リスクはありません
 

POINT

– ネズミを捕食する猫ではリスクが高まる

猫ちゃんのコクシジウム症 受診の判断は?

特に、家に来たばかりの子猫や、ネズミを捕まえるのが好きな猫など、猫のコクシジウム症の寄生リスクがある猫で、下痢、嘔吐などの症状がみられた場合は、早めの受診を検討しましょう。 
もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。

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猫ちゃんのコクシジウム症の検査・治療は?

検査

猫のコクシジウム症は、一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認します。ここで猫のコクシジウムのオーシストが見つかれば確定診断ができます。可能であればその日にした便を持参しましょう。病院で肛門から少量の便を採取することもできるので、難しい場合は持参できなくても大丈夫です。
子猫や衰弱した成猫で、消化器症状がひどいときや、猫のコクシジウムのオーシストがみつからないときは、他の病気を疑い画像診断や血液検査を行うこともあります。猫のコクシジウムのオーシストは非常に小さく、一般的な寄生虫の卵よりも見つけるのが困難になることもあります。

治療

検査の結果、猫のコクシジウム症であると診断されたら、駆虫薬によって治療を行います。一般的には駆虫薬だけで良化します。消化器症状が重く、下痢や嘔吐による脱水を起こしている場合は、点滴を行う必要があります。点滴により、十分な水分や電解質を補給します。
駆虫薬は、内服タイプで便検査を行いながら複数回の投薬が必要になることがあります。

猫ちゃんのコクシジウム症 予防はできる?

猫のコクシジウム症を完全に予防することは難しいですが、感染が発覚した場合は、再感染をしないように猫の環境中を消毒することが大切です。オーシストは熱に弱いため、70℃以上の熱湯もしくは高温スチームで洗浄する必要があります。また、便とともに排泄されオーシストはすぐには感染力がありません。そのため感染力を持つ前にすぐ片付けることが重要です。環境中にネズミがいる場合はネズミの駆除を行うことも効果的です(殺鼠剤は猫にも危険なためネズミ駆除は十分な注意が必要です)。
また、多頭飼育の場合は、1匹にコクシジウム感染が確認された時点で他の猫たちにも予防的に駆虫薬が処方されることもあります。コクシジウムが検出されなくなるまで隔離して飼育したほうがいいでしょう。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。

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