獣医師が解説【犬の出血性胃腸炎】下痢など代表的な症状、原因、治療法・薬、受診の判断は?
この記事を監修した獣医師
anicli24 院長
三宅 亜希みやけ あき
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。
ワンちゃんの出血性胃腸炎 代表的な症状
犬の出血性胃腸炎は急性出血性下痢症候群ともいい、嘔吐や、赤い液体やジャムのような血便が見られます。血便が混ざった便をする、便の一部に血液が付着するというものとは異なります。この症状は突然起こり、急な嘔吐と元気消失から始まり、数時間後には赤い水様性の下痢が起こり、次にショックの状態となります。 ショック症状とは水分や電解質の損失が激しいときなどにおこり、全身への血液供給が下がり、ぐったりとし、呼吸と心拍は早くなり、血圧の低下や体温の低下などを招きます。
ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードルなどの小型犬やトイ種で多くみられる傾向があるとの報告もあります。
POINT
- ぶどうジュースのような下痢
- いちごジャムやクランベリージャムのような下痢
- 嘔吐
- 元気消失
- 突然起こる
ワンちゃんの出血性胃腸炎の原因は?
出血性胃腸炎(急性出血性下痢症候群)は、原因がはっきりとはわかっていないものをさします。免疫異常、強い不安やストレス、不適切な食べ物などが要因になっている可能性があります。出血性胃腸炎に似た病気には、ウイルス性の胃腸炎など感染性のものがありますが、これらの胃腸炎とは異なり他の犬にうつることはありません。
ワンちゃんの出血性胃腸炎 受診の判断は?
出血性胃腸炎(急性出血性下痢症候群)かどうかは病院で検査をしても診断をするのは難しいことがあり、飼い主さんがご自宅で判断するのはとても困難だと予想されます。さらに、経過が急であり、早期に入院治療を行わないと命に関わってくるおそれがあります。そのため、嘔吐をして元気がない、赤い下痢をしている、というようなときは、様子を見ずに受診することが重要です。
もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。
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ワンちゃんの出血性胃腸炎の検査・治療は?
検査
出血性胃腸炎(急性出血性下痢症候群)は、他の考えうる似た病気が全て否定されて初めて診断できる病気のため、先述したように検査をしても診断をするのは難しいことがあります。一般的には以下の検査を行います。
問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認します。
必要に応じて、パルボウイルス感染症など似た症状を起こすウイルス疾患の検査を行うこともあります。
画像診断では、消化器(胃や腸)の炎症状況を確認したり、異物誤飲など他の原因がないかを確認したりします。
血液検査では、一般的な健康状態を確認し、血液中の電解質のバランスや、水分と赤血球の割合などを確認します。下痢とともにたくさんの血液が出てしまうと、貧血を起こすのではないかと思われがちですが、実際には、失っている水分の方が多く、血液はどろどろの状態になっていることがほとんどです。
治療
検査の結果、出血性胃腸炎(急性出血性下痢症候群)が疑われるときはすぐに入院治療になり、静脈点滴を行う必要があります。点滴により、十分な水分や電解質を補給します。胃腸はかなりのダメージを受けているため、細菌感染などの二次感染を防ぐ目的で抗生剤などが使用されることもあります。これらの治療がすぐに行えた場合は、ほとんどのケースで早期の回復が見込めます。
食事や飲水については、絶食絶水が基本となり、症状が落ち着いてきたら少量ずつ、脂質の少ない適切なフード(療法食など)を与えます。
反応がよければ、数日(3~5日程度)で退院が可能となりますが、自宅での内服薬の投与、通常食が食べられるまでの間の療法食への切替、定期的な通院などが必要になることが多いです。
ワンちゃんの出血性胃腸炎 予防はできる?
原因がわかっていないため残念ながら有効な予防方法はありませんが、良質なフードを与え、強いストレスをかけず、適切な予防を行うなどの健康的な生活を送ることは重要です。また、日ごろから、便の状態などを確認する習慣をつけておくこともおすすめです。
アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。
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