よくある症状 第6回「涙・眼ヤニが多い」 獣医師 三宅

実際に来院される理由としてよくある症状を紹介していきたいと思います。
ご自宅の猫ちゃんに同症状がみられた時に、参考にしてみて下さい。

考えられる原因
*目の疾患*
目の表面(角膜)に傷がある、緑内症、腫瘍など

*風邪*
風邪のウイルスが目の表面に付くと目だけに症状がでます。その後、くしゃみ・鼻水などが起きてきます。

*鼻涙管の疾患*
鼻涙管とは目と鼻をつないでいる細い管のことです。この管を通って涙は鼻に抜けていくので、ここが詰まってしまうと、鼻へ流れていくはずの涙は行き場を失い、目から溢れてきます。

検査
*視診*
涙・目やにの色・性状をみます。また、眼球の様子や、瞼が腫れていたり、結膜が充血していないかなどもチェックします。

*角膜染色検査*
目の表面(角膜)に傷がないかを調べます。細かい傷が付いてしまうことは割とよくあります。緑色の染色液を目に垂らし、お部屋を暗くしたあと青いライトを目に当てて観察します。傷があるところは染色液が蛍光色に光ります。

*シルマーティア試験*
涙の量を計ります。

*眼圧検査*
目のなかには眼房水といわれるきれいな水で満ちている部分があります。緑内障という病気はその水が多すぎる状態で、逆に、ブドウ膜炎という目の内側の炎症が起こると水は少なくなります。眼房水の量で目の圧(眼圧)が変わってきます。
目の表面に測定器を軽くトントンとあてることで眼圧を計測します。痛みはありません。

*眼底検査*
目の一番奥をみます。眼底の血管、網膜、視神経を調べる検査です。網膜剥離や眼底 出血などがわかります。

*スリットランプ検査*
目の構造(角膜・虹彩・水晶体)などをみることができます。

涙や目ヤニが多いからといって、全部の検査を一度にやる病院は少ないと思いますが、角膜染色検査(目の傷の検査)は多くの病院で初診時に実施されるかと思います。

その他の検査は、通常よりも治療の反応が悪い場合や、視診での印象や飼い主さんのお話を伺ってみて目に疾患を持っていそうだと判断した時に追加で実施していくことが多いです。もちろん、心配だから健康診断も兼ねて目の検査を全部するっていうのもいいと思います。

治療には目薬が使用されることがほとんどですが、原因によって処方する目薬の種類はもちろん変わります。

大切なのは確実に目薬を差すことと、猫ちゃんに目をかかせないことです。

目を気にしてしまう子には、かわいそうですがネッカー(エリザベスカラー)をつけてもらいます。

予防できること
多頭飼いのお宅では猫ちゃんがじゃれあっているうちに、誤って爪が目に入ってしまうことが多いようです。爪切りをこまめに行うと傷の予防になります。
また、小さい頃に風邪をひいていた経験のある猫ちゃんは、風邪が完治しても、ウイルスが目の粘膜などに潜んでいる場合がほとんどですので、ちょっとしたことでぶりかえして涙や目ヤニが出てしまいます。そういう子はウイルスの活性を弱め、自己の免疫を高めるインターフェロンの目薬が効果的ですので、ちょっとおかしいなと思ったら早めに点眼してあげると良いと思います。

目の傷は、悪化する時はあっという間です。
ですので、異変に気付いたらすぐに病院へいくように心がけてください。

もっと詳しく知りたい方、同じ病気にかかっている愛犬愛猫と暮らしている方、
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