第3回 そのダイエット本当に必要ですか? 「不用意なダイエットの危険性」
どっしりとした背中に太いお腹。
コロコロとしたその姿は、イケないとは解っていても、ついつい食べ物をあげたくなってしまいます。軽やかさとは程遠いけど、飼い主を幸せに導く天使のようにみえます。
さて、この(重さゆえに)飛べない天使たち、可愛いからそのままでもいいような気がしますが、明らかに体重過多で適正体重を逸脱しているとしたら、ダイエットを考えなければいけません。
ダイエットと言えば、真っ先に食餌制限が思い浮かびます。食事の量や回数を減らすことは確かに有効な手段ではありますが、注意しなければいけないことがあります。
まず、ワンちゃん・ネコちゃんのフードは総合栄養食であり、体重に見合った規定量を食べることで栄養分を摂取することができるようになっています。
例えば、今まで食べていたフードの量をいきなり半分にしたとします。通常の半量なのでカロリーは半分になりますが、同時に栄養分も半分になります。
それをそのまま続けていくと、体重だけでなく栄養分も減り、健康のために始めたダイエットが健康を害することになりかねません。
食餌の量で体重をコントロールしたい場合には、今まで食べていたフードで行うのでなく、動物病院で販売している減量のためのフードを検討してみましょう。減量用のフードは、カロリーを抑え、少量で満腹感と必要な栄養分がとれるよう工夫されています。様々なフードメーカーが販売していますので、食べなくても諦めずに他のメーカーの商品を試してみてください。
また、ネコちゃんは極端な食餌制限を行うと、肝臓に負荷がかかり脂肪肝という状態を引き起こすことがありますので要注意です。
食餌についてばかり取り上げていますが、もちろん運動も大切です。
人間と同じように、運動によってカロリーを消費することは適切なダイエットには欠かせません。ただ、もともと沢山運動をするような種類の子では、少しのお散歩ではダイエットにつながるほどのカロリーを消費出来ないこともありますので、食事によるコントロールが大切になってきます。
また高齢動物の場合、運動によるダイエットは困難であり、食餌療法が主となります。ダイエットは必要に応じて、その子に合わせた方法を選択してあげることが大事です。
ダイエットは、悪いことではありません。
ただ、始める前にもう一度、
1.本当にダイエットが必要か?
2.必要だった場合、目標体重は適正か?
3.どんなダイエット方法が適切か?
を確認し、きちんと準備をした上で正しい方法で無理なく行いましょう。
健康的なダイエットこそが、その先の健康に繋がるのです。
もっと詳しく知りたい方、同じ病気にかかっている愛犬愛猫と暮らしている方、
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