「慢性腎不全」 獣医師 三宅

腎臓は血液中の老廃物を尿として排泄する機能を担っていて、生体にとってとても大切な臓器の一つです。
慢性腎不全とは、この腎臓の働きが少しずつ弱くなっていく病気で、数か月から数年かけて進行性に悪化します。
特に老齢の猫に多く見られます。
腎臓の働きが低下すると、尿として排泄されるべき老廃物が血中に残ったり、
出て行ってほしくない大切な水分も尿としてどんどん排泄してしまったりします。
そのため、老廃物のせいで体調がわるくなり食欲不振や嘔吐がみられたり、脱水を起こしたりします。
悪くなってしまった腎臓は残念ながら元に戻ることはありませんので、この病気になったら進行を遅らせるための治療を選択することになります。

症状
水をたくさん飲み、色や匂いが薄い尿をたくさんする。痩せてきた。食欲低下。嘔吐など。

診療
尿検査や血液検査を行い、腎臓の働きを確認します。
超音波やレントゲンなどの画像診断を行うこともあります。
また、高血圧を調べるために血圧測定を行います。
薬剤を使用した血液検査により、今現在腎臓の何割くらいが稼働しているのかを知ることもできます。
慢性腎不全の程度にもよりますが、腎臓に負担をかけないようにするための降圧剤や処方食が処方されます。
脱水が見られる際は皮下補液なども行います。
先述したとおり、この病気を治すことはできないため、処方された薬や食事は基本的に生涯続けることになります。

予防
残念ながら有効な予防方法は確立していません。
発症年齢の平均は、犬で7歳、猫で9歳であり、どの年齢でも発症するものの、加齢とともに増加傾向にあります。
そのため、シニア期からは特に定期的な健康診断を心がけ(年に一度の検査を年に二度にするなど)、早期発見に努めましょう。

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