「誤食」  獣医師 三宅

散歩中やお家の中で、落ちているものを素早く食べられてしまったことはないでしょうか。
ちょっとくらいなら大丈夫かな、と思ってしまいがちですが、拾い食い(異物誤飲)はとても怖いんです。

症状
食道:飲み込む途中で食道につまってしまうことは少なくありません。
リンゴ、果物の種、ジャーキー、おもちゃなどつまらせるものは様々です。
食道に物がつまると、食道のすぐ隣にある気管(肺と空気をやりとりする通路)を圧迫してしまい、うまく息ができず呼吸困難を起こすこともあります。
また、吐きたそうにしたり、咳き込んだり、普段聞き慣れないような「グゥグゥ」という音が喉から聞こえることもあります。

胃:
無事に胃までたどり着いたとしても、大きな塊は胃の粘膜を傷つけて胃を荒らしてしまいます。
また、胃の出口(腸の入口)は以外と狭いので、今度はそこでつまってしまうこともあります。
胃が荒れたり胃の出口(腸の入口)で詰まったりすると、嘔吐が引き起こされます。

腸:
食道・胃をうまく通り抜けてこられても、最大の難関である腸が待っています。
腸は非常にデリケートな組織なので、物がつまったまま放置すればその箇所から壊死を起こしてしまいます。
また、腸が捻じれたり全く動かなくなったりするかもしれません。
こうなると犬は何も食べられなくなり、頻繁に嘔吐を繰り返すばかりではなく、生死に関わる問題になってきます。

診療方法
レントゲンや超音波で画像診断を行います。
レントゲン検査ではバリウムなどの造影剤を使用することもあります。

食道
詰まっているものを自力で吐き出させるのは困難なので、全身麻酔をかけて口から取り出すか、逆に胃に押し込んで自然な消化を待ちます(詰まっているものが安全な食品の場合のみ)。
一方、消化できないような物の場合には、胃に押し込んだあとに内視鏡もしくは胃切開にて取り出します。


消化できるものやとても小さいものの場合には経過観察で様子をみますが、それ以外のものはやはり麻酔をかけて内視鏡で取り出すか、胃切開をして取り出すしかありません。 


腸の場合でもやはり麻酔をかけて腸切開をして取り出すしかありません。

内視鏡で取り出せるケース(食道・胃)では体を傷つけることがないため、当日もしくは翌日には退院できることがほとんどですが、胃や腸を切っている時は数日の絶食と点滴入院が必要になります。
また、腸閉塞や腸捻転を併発してしまっていると、その分手術の危険も高くなります。

予防
なにか落ちていても素通りできるようにしつけるしかないと思います。
お腹が空いていつも食べ物を探しているような子の場合には、食事の量は変えずに回数を増やしてあげると良いかもしれません。
また、お家の中では犬が届くところに物を置かないように気をつけましょう。
万が一、異物を口にくわえているのを見かけたら、コラッと叱ると余計に急いで無理やり飲み込んでしまうかもしれないので、静かに取り上げるか、間に合わなそうなときには大きな音をだすなどしてびっくりさせて一瞬動きが止まった隙に取りましょう。




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