2022.09.22

獣医師が解説【猫の口・鼻の病気】鼻炎の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は？

猫ちゃんの鼻炎 代表的な症状

猫の鼻炎では、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が見られます。副鼻腔（鼻腔の周囲に複数ある空洞）にまで炎症が広がると副鼻腔炎（人でいう蓄膿症）を起こし、顔が腫れたり痛みを生じたりすることがあります。また、鼻づまりがひどいと、呼吸がしづらく開口呼吸をしたり、匂いを嗅ぐことができずに食欲が落ちてしまったりすることがあります。
鼻水の性状は、鼻炎の原因により様々で、透明のものから、ドロッとしたもの、血が混じったものなどがみられます。

猫ちゃんの鼻炎の原因は？

猫の鼻炎の原因は、上気道（鼻～喉）への感染症（細菌、真菌、ウイルスなど）、異物を吸い込んでしまった、嘔吐物が逆流した、鼻腔内の腫瘍やポリープ、上顎の歯の疾患（歯根膿瘍）などが挙げられます。
また、原因がはっきりと特定できず、特発性鼻炎、特発性副鼻腔炎、と診断されることもあります。

猫ちゃんの鼻炎 受診の判断は？

水を飲んだ後や匂いを嗅いだ後にくしゃみが出る程度であれば、生理現象の範囲内だと考えられます。ですが、何度もくしゃみをする、鼻水が垂れるほど出る、といった場合は、念のために受診を検討されると安心です。また、ドロッとした鼻水が出る、血が混じる、といったときは迷わず受診しましょう。

もし、たまに見られるくしゃみや鼻が濡れている程度の鼻水との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、病院に行くと体調が悪くなるのでなるべく避けたい、など受診に踏み切れない場合は、アニクリ24の獣医師に直接相談してみませんか。

猫ちゃんの鼻炎の検査・治療は？

検査

猫の鼻炎では一般的に以下の検査を行います。
問診で、飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。とくに突然くしゃみや鼻水が確認できるようになった場合は、直前に嘔吐など鼻炎の原因になりえる出来事がなかったかを詳しく確認します。
触診で、鼻や顔に腫れや痛みが確認できることもあります。
レントゲン検査では、鼻腔、副鼻腔、歯根などに異常がないか、異物や腫瘍はないかを確認することができますが、レントゲンで確認できる明らかな異常が見つからないことも多くあります。CTやMRI検査を行うと、レントゲンでは確認できない小さな変化も把握できますが、検査には全身麻酔が必要になります。
明らかな腫れがある場合は、その部分に細い針を刺して中身を確認する細胞検査を行うこともあります。この検査は、感染や炎症なのか、腫瘍なのかの判断材料になります。
また、全身状態を確認するために血液検査を行うこともあります。
鼻汁を培養し、原因を確認する材料にすることもあります。

治療

鼻炎の原因により、治療法は変わります。
感染症であれば、抗生剤、抗真菌剤、抗炎症剤などの内科治療を行います。
異物は摘出が必要になり、腫瘍は摘出や化学療法、放射線療法などの治療を行います。
歯が原因の場合は、抜歯や口腔内のケアを行います。
異物が原因で早期に取り除けた場合などの予後は良好ですが、慢性化した鼻炎は完治させることが難しく、長期的な内服が必要になることもあります。
また、粉塵やタバコの煙などは、呼吸の症状を悪化させるため、家庭内の環境を整えることも治療のひとつになります。

猫ちゃんの鼻炎 予防はできる？

猫風邪から鼻炎が起こることもあり、それらはワクチンで予防することが可能ですが、細菌感染や真菌感染などワクチンで予防ができない感染もあります。また、歯の疾患からが原因になる鼻炎は、定期的に口腔内のケアを行い、歯周病の予防をすることが鼻炎の予防にもつながります。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。