獣医師が解説【犬の胃腸の病気】巨大結腸症の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

わんちゃんの巨大結腸症 代表的な症状

犬の巨大結腸症とは、便秘の慢性化によって結腸が拡張した状態をいいます。結腸が拡張することでさらに便秘が起こりやすくなります。巨大結腸症により、便秘、食欲不振、嘔吐、腹痛などの症状がみられます。また、便秘と同時に下痢や血便が生じることもあります。一般的に犬ではめずらしい症状です。

POINT

便秘

– 食欲不振

嘔吐

– 腹痛

わんちゃんの巨大結腸症の原因は?

巨大結腸症は結腸に長時間便が滞留することによって起こります。そのため、便秘を起こす様々な原因がそのまま巨大結腸症の要因になります。便秘の原因は、大きく分けて機能的便秘と器質的便秘に分けられます。

機能性便秘:弛緩性便秘(大腸の動きが弱まる)、痙攣性便秘(大腸の動きに規則性がなくなりうまく動かない)、直腸性便秘(便を我慢してしまい排便のサインに鈍感になる)、があります。

器質性便秘:物理的な腸管の通過障害が原因となります。具体的には骨盤狭窄、腸管内異物、腸管腫瘍、肛門の痛み、会陰ヘルニアなどです。

これらの原因以外にも、不適切な食事、脱水、関節の痛み、神経の痛み、薬の影響などが便秘の原因として挙げられます。
巨大結腸症になるほどの便秘が犬で起こることは珍しく、関節や神経の痛み、会陰ヘルニアを起こしている犬で、リスクがあります。

POINT

– 犬では珍しい

– 関節や神経の痛み、会陰ヘルニアなどでリスクが高くなる

わんちゃんの巨大結腸症 受診の判断は?

特に高齢の犬で関節に痛みがあったり、神経疾患や会陰ヘルニアがあったりする犬で、若い頃に比べて排便の回数が減っている、排泄される便が小さく硬い、排便時にいきんでいる時間が長い、いきんでいて吐いてしまったという状態がみられたら、便秘の可能性が高いため受診を検討されてみることをおすすめします。

もし、便秘なのかそうではないのかわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。

Anicli24は24時間365日
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登録は約5分で完了。経験豊富な獣医師に、今すぐ電話で相談できます。

わんちゃんの巨大結腸症の検査・治療は?

検査

一般的には以下の検査を行います。

問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。神経疾患や関節疾患の既往歴なども確認します。
腹部の触診で、結腸に滞留している便を確認します。
画像診断では、レントゲン検査で結腸の太さを確認します。
血液検査では、一般的な健康状態を確認し、血液中の電解質のバランスや、水分と赤血球の割合などを確認します。

治療

治療は便秘の解消ですが、巨大結腸症を起こしている慢性的な便秘が、何が原因で起こっているかによって治療法が変わります。
まず便秘の解消として、浣腸、用手摘便、を行います。これらにより宿便が取り除けた後は、食事療法、緩下剤、積極的な飲水などで維持していきます。
神経疾患や異物誤飲、会陰ヘルニアなどに対しては外科手術が行われることもあります。
巨大結腸症による便秘がどうしても改善しない場合は、結腸を切除する手術が選択されるケースもあります。

わんちゃんの巨大結腸症 予防はできる?

便秘を予防することが巨大結腸症の予防になります。そのため、排便時の様子を観察し、いきみづらそうにしているか、以前よりいきんでいる時間が長くなっていないか、便が小さく硬く、匂いがきつくなっていないかなどを確認しましょう。また、肥満は便秘の要因になるため、必要に応じてダイエットを行いましょう。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。

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